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鶏は卵から生まれてきますね。でも、その卵を産んだのは鶏です。ではどちらが先に存在したのでしょうか?

 西欧の後先の決められない堂々巡りの議論です。
鶏は、その子(卵)から生まれてきたわけではありませんから両者が同時に存在する以上成り立たない議論なのです。
先ほど話しましたように、一つの生命や物質は子供の時代が“陰”で最初にあり、大人の時代が本命の“陽”となります。しかし、複数の子供と大人の関係を見た場合、最初に生まれてきている大人が“陰”となり、後から生まれてきた子供が“陽”となるのです。これは祖先と子孫の関係と同じですので、時間差を考えれば迷うような問題ではありません。
物事の見方として一元的(主観的=絶対的)な見方と二元的(客観的=相対的)な見方の違いなのです。見方の違いによって陰陽が逆になる典型的な例と言えます。
ちなみに先ほどの「鶏が先か、卵が先か」を貴方が答えるならば、“鶏”と答えるべきです。そして「その鶏は何から生まれてきたのか」と問われたら“その親鳥”だと答えるのが正しいのです。


「親(陰)が無ければ子(陽)はできぬ」

 ここまでお話してきましたように物事は必ず“陰”から始まり、そして最後に本質本命の“陽”が現れて一区切りがつくというのが陰陽論の共通原理です。宇宙であれ惑星であれ物質であれ生物であれ例外はありません。

 時間は過去から未来へと一方通行で流れていきます。陰陽も同様に陰から陽へと変化していく流れは一方通行であり、逆流することはありません。老人が子供に戻ったり、未来が過去に戻るということが無いということと同じなのです。

 

ここで陰陽の定義付けに関してまとめておきましょう。

(陰) 
母体、形質、雌体、基礎、骨格、容器、内核、防御、凝集、圧縮、受動、母性、静止、安定、創造、向心力、過去

(陽)
子体、本質、雄体、応用、筋肉、中身、外核、攻撃、発散、膨張、能動、父性、運動、変化、破壊、遠心力、未来

母体があるから子体が生まれ、基礎があるから応用ができ、圧縮されるから膨張できるわけです。安定が無ければ変化などしようがありません。
こうして一覧を改めて見ていただくと、“陰”が存在しなければ“陽”が生み出されないということを理解していただきやすいのではないかと思います。

 陰と陽の区分けが正確にできれば、それだけで法則を介した真理を推察することができるようになります。しかし、複雑で多様な現代社会においては、その見極めは非常に難しいのも事実です。

 例えば、生と死はどちらが陰と陽なのでしょうか?
イメージで言えば死が陰で生が陽とも思えます。しかし生の後に死はやってきますから生が陰で死が陽とも考えられます。しかし生きることに価値があるのは分かりますが、死することに意味があるのでしょうか?
このように考えていってしまうと堂々巡りで明確な答えを導き出せなくなってしまいます。
“生と死”という言葉のイメージだけでは陰陽の分類は大変難しくなってしまうのです。
この答えを得るには生と死を語る前に「生命とは何か?」が分からなければならないのです。

次回へ続く

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