陰陽輪廻(1)

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〈輪廻と進化〉

 物の形が存在し、目で確認できるということはそれが陰陽合体した陰の状態であると判断できます。万物には寿命がありますので、その運動寿命が尽きれば形を失い存在自体をなくしてしまいます。これは生物に限らず、岩石や金属であっても同じですし、原子核を構成する素粒子も同じ運命をたどります。運動が終了すると全ての物は形を失い、その効力も失っていきます。そして元々の原型体である気の粒に昇華し、空間に帰納していきます。つまり、元の形に戻っていくということです。私たちの生きるこの世界では栄枯盛衰が必然なのです。しかし、生命の陽である心はその記憶や意識が気の粒と共に、宇宙輪廻の途に着き永遠に続いていきます。この章ではそこを詳しくお話したいと思います。

 “輪廻”という言葉には生命輪廻と、世代輪廻という考え方があります。
生命輪廻とは一つの生命体がその死期を迎えて、心だけが輪廻循環の途につくという意味です。もう一方の世代輪廻とは肉体を後世に伝承させていく物質の世代交代、肉体輪廻の意味になります。同じ輪廻という言葉ですが、その意味はまったく異なることになるのです。仏法では前者を天の輪廻(陽)、後者を地の輪廻(陰)と呼んで区別しています。

 生命輪廻で一番分かりやすい有名な例が川の輪廻(水の循環)です。川という生命体の一生を、人間生命の一生になぞらえて生死の循環を説く仏教説法なのですが、その説法を本書なりに少し修正して紹介しておきましょう。川の肉体(陰)は川底であり、また川の生命(陽)はそこを流れる水です。川底に水が溜まってはじめて川は生命体となります。(陰と陽の合体)雨が大地に降り注いだ瞬間から川は誕生し、山の渓流(赤ちゃん)から上流域(少年)へと成長し、やがて中流域(大人)を経過し下流域(老人)へと流れていきます。流速や水量がある中流域は一番勢力のある流域ですので、時には氾濫して洪水を引き起こします。これは人間で言えば一人前の大人の段階と言えます。一方、水量は豊富であっても流れのゆるやかな下流域はゆったりと流れており、肥沃な三角州を形成して生命を育みます。これは人間で言うなら老人の段階に相当します。川の“死”とは河口に水が達した瞬間となり、川としての実相を失い海に流れ込んで同化していきます。雨は元々海(死)から発生していますので、川の死とは振り出し状態に成ったといえます。海に流れ込んで川底(陰)を失った川は消滅しますが、その生命(水)が消滅したわけではありません。その生命(水)は海と一体化し再び蒸発して雲を起こし、雨を誕生させて次の川底を満たし新しい生命を生み出していくのです。

 

 

 この輪廻は人間にも同じことが起こります。死期が訪れた肉体は地球大地へ戻っていき、その生命(心)も地球磁場圏へ帰納していくこととなります。つまり川の水が海と一体となるように、人間の心も肉体を離れた後は地球磁場圏と一体になり、さらなる行程へと進んで行くのです。

次回へ続く

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