その答えは流体や媒体の中で直進運動が発生すると、流体渦もしくは媒体渦という回転運動が発生してくる事実から伺い知ることができます。大気の直進運動であるジェット気流が濃密な大気層と衝突して、左巻き渦(低気圧渦)や右巻き渦(高気圧渦)などの大気の巨大渦(ベクトル渦)を発生させる事や、圧縮した空気を急激に断熱膨張させると、その瞬間に大量の小さな“拡散渦(左右の双子渦)”が発生する事実を考えれば、直進運動の反作用として渦運動(回転運動)が生産されることは誰でも想像することができます。
直進運動を利用して、一本の鉛筆に回転運動を与えようと考えた場合、竹とんぼの原理を応用するのが最も早い方法です。二つの向きの異なる直進運動で回転運動は生み出すことができるのです。しかし、別にわざわざ向きの異なる直進運動を用意しなくても、一本の直進運動で回転運動を起こすことは充分可能なのです。
ここで重要なのは、一つの直進運動がなぜ回転運動を起こすのか?という回転原理のメカニズムを追求することにあります。それは物理学最大の謎である“角運動の謎”を解く糸口にもなるのです。
そもそも直線で曲線を描くことはできません。回転運動の基本原型である円を直線で表すためには、内角の総和が360度になる形を想定しなければなりません。その形とはもちろん正四角形なのですが、流体の慣性壁と衝突した直進運動(力線)が直角に反射し四角形型の運動を起こしていくのだと推理する必要があります。
そして、その力線の四角形運動に回転の遠心力が加わって、力線にカーブがかかり、それが円運動のように見えるというのが正しい解釈の仕方なのです。
一点を中心とした回転運動が角運動と呼ばれる理由は、それが角度を刻む運動だからなのです。角度とはそもそも二辺の直線によって表されるもので、それで規定できる円運動には元々角度が備わっているという意味なのです。
仏法には輪廻を現す“四諦摂理”という原理概念が存在しており、輪廻行程には四つの基点が存在し、その基点から誕生する二種四辺の異なる行程から、輪廻運動が構成されていると説かれています。それと全く同じ原理は古来中国の易学にも存在していて、回転を表す“四相摂理”という十二支の骨格となる原理が説かれています。西欧にも回転を四区分するクォーター概念が存在していますし、見せ掛け上の形に惑わされずに、回転運動の本質を見定めれば、それは力線が描く四角形運動である事が識別できるのです。
宇宙の運動形態をさらに分類すれば、直進運動(陰)には慣性系の直進運動(陰)と波動系の直進運動(陽)の二種類に分割が可能です。慣性系の直進運動とは、他力を加えられた物体が、その慣性のまま運動をすることであり、気体の拡散運動や落下運動などがこれに該当します。また一方の波動系の直進運動とは、磁場が物体を揺すって振動波として直進していくもので、電磁波や地震波などの衝撃波や、音波、振動波などがそれに当たります。これら波動系の直進運動は波形輪廻を繰り返しながら直進していくというギザギザ運動(サイン波運動)にあり、回転や反復をしながら直進していく性質にその特徴があります。
また一方で、回転運動(陽)も渦系の回転運動(陰)と公転系の回転運動(陽)に分割が可能となります。渦系の回転運動とは媒体や流体が起こす渦運動で、“渦磁場”と呼ばれる重力場を形成することがその特徴です。自転している天体、流体や気体の渦がこれに当たります。この渦系の回転運動の最大の特徴は、位相運動という極めて特殊な内部運動を起こす事にあり、先にお話しましたように天体の渦磁場は生物の心の領域となっています。一方、公転系の回転運動とは磁場の中心点に対して、小さな磁場が角運動を行なうもので惑星や衛星の公転運動、電子の公転運動、電気力線や電磁力線の回転運動などがこれに該当します。この回転運動は“軌道磁界”と呼ばれる力の場を形成する運動でもあり、その回転軌道に応じた二次磁場を生み出すのが特徴となります。いずれの回転運動も、回転によって直進力(中心磁束)を生み出し、それで力の場を形成すると共に、その作用力を他に伝えていくという不思議な性質も持っています。
以上のように、宇宙の運動原点は直進運動にあり、この直進運動があらゆる運動形態を生み出しているのです。従って、全ての運動は直線で表すことができるということなのですが、回転運動においてもただ回転(輪廻)するだけの堂々巡りの運動は存在せず、直進運動の遺伝子を持つそれは、回転しながらも前進していくという前進性を必ず備えているのです。例えば、時間は単位サイクルを刻みながら縦へと伸長し、数字も単位サイクルを繰り返しながら無限にどこまでも伸びていいきます。もちろん、先にお話しました様に人間の心も単位サイクルを刻みながら縦の進化を続けていくということなのです。
次回へ続く
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