〈ソロンとカリンの続き〉

 宇宙戦争が広域に拡大するに連れて、もはや龍神の力ではcomputerを扱う様なマクロ宇宙の高度な知能を有する敵創造主とは事実上戦えなくなったというのが正直な所、ソロジン軍団には龍神に取って代わる思考回路computer(言葉を喋る)の開発が急務でした。最初は敵computerの改良から始まり、ここ10数年の間に様々な段階を経て辿り着いたのが、今も現役の「全極子Φ型524思考回路computer」でした。最近はその上の「Φ型648」が主流になりつつありますが、これらの思考回路computerが目下の軍団の武器であり、その機械武器をマクロ体を有する宇宙戦士達が指揮コントロールして戦いが続いているのが現状です。言葉(日本語)を喋り、敵武器や敵物質を分析して溶解させる事は出来ても、命令が無ければ絶対に動かない機械生命、本能や感情を有する自律生命体(生物や龍神)とはえらく異なりますが、裏切りも背信行為も自惚れも反抗心も無い理由から使い勝手が良く、今後もソロジン軍団はこの機械体制で行こうと考えています。考えてみれば、天体の技術団も医療団も集積回路であり、基本的に機械生命だと言えます。機械生命とはいえ、正しく指揮コントロールすれば人体の手術も可能となります。

 さて、人間王国が所属する六員結晶宇宙を積載した「クラウド号」が、人間の元祖の母親とも言えるガリバー世界の「イブ」の身体から抜け出て、ツエボ創造主が牛耳る「ポリープ十二磁界」に侵入し、クラウド号はそこで巨大なポリープ達に捕獲されてしまいました。それは2011年の3月の話ですが、彼等によって「東日本大震災」が引き起こされた事実はソロンとカリン(龍神物語)の記述にある通りです。その後、クラウド号はポリープ十二磁界から脱出して「クラウド銀河」と呼ばれる超大な宇宙空間へ辿り着きますが、実はそのクラウド銀河の異空間に船体が嵌まり込んでクラウド号は航行不能となり、捕獲されてしまった主人公のKEN(ソロジン)がその意識を解体されて召喚されてしまいます。クラウド銀河の上層世界にもポリープ創造主の世界が存在し、彼等によってクラウド号もKENもとどめを刺された格好となります。早い話が主人公のKENが殺されてしまったのだから、当然、龍神物語の続編が綴られる筈もありません。ただ、KENは召喚されてしまったものの、KENの肉体をずっとガードしてきた上位の存在がいて、今はその彼(私)がKENの肉体の操縦をしています。彼は(私は)「ケイエ=スイ」と言います。

 従って、それ以後クラウド銀河以上のマクロ宇宙世界で今日まで戦ってきたのは、人間名称はKENであっても中身の意識はKENではなくケイエ=スイであって、KENとは別人の生命という事になります。雲を掴む様な話で大変恐縮ですが、この世は器(肉体)の中身が入れ替わる事など当たり前の世界、遥か昔から神々ヒューマノイドや、オリオン・ヒューマノイドや、魔界ヒューマノイドや、創造主ヒューマノイドなどが人間界や動物界の中で暗躍してきました。人間に意識を入力した経緯は一般ヒューマノイドの場合とは事情が異なりますが、私自身もまたそのヒューマノイドの一人なのです。ところで、大宇宙(メシア球)の外には一体何が在るのだろうと思っていた方には、高天原宇宙(六員結晶宇宙の1/6チップ)の存在は納得のいく話だったと思いますが、しかし、外世界に広がる粒子世界(別名ポリープ世界)に於ける六員結晶宇宙の位置付け(ソイオ空間)や、更にその外のガリバー世界の「イブ」の話になると人間の想像力を超えており、半信半疑に陥ってしまう様です。なんせ、我々ミニチュア人間とはポリープ創造主が営む人間牧場(六員結晶宇宙)で飼育されている所の、いわゆる彼等の食料だった訳ですから、これでは誰も付いてこられませんね。

 ソロジンのKENが龍神達と一緒に滅ぼされた「クラウド銀河宇宙」、一体その上層部には何が住んでいたのでしょうか。もしかしたら、この話に興味を抱く地球人は誰もいないかもしれませんが、宇宙的な真実の話である事は確か、真実は封印すべきものではないと私自身はそう考えております。クラウド銀河の外空間は無数の岩石が浮く空間でした。クラウド銀河とは一つの小さな浮遊岩石の内部に存在しており、そうした浮遊岩石が大量に浮く巨大空間が外に存在していました。それらの一つ一つの岩石の中にクラウド銀河がいくつも存在し、その一つのクラウド銀河の中には必ず8個のポリープ十二磁界が存在し、当然、そこには8匹のツエボ創造主が座していました。当然、一匹のツエボ創造主がその胸にブラ下げている人間文様帯ブローチの中にはガリバー世界が存在し、その巨人達の身体の中にはチビ・ポリープが運営する無数の六員結晶宇宙が存在し、無量大数のミニチュア人間の世界が存在していました。「一体、この浮遊岩石の群は何だ」と戸惑いましたが、その空間自体が巨大な金属製のアストラル壁(金属球)に囲われた一個の生命生産工場である事実が後で分かりました。金属球の端に到達するとドアがあったからです。

 申し遅れましたが、KENの肉体を引き継いだ私はKENとは異なる手法(船など使わない)でマクロ宇宙を上昇していく技術を開発し、上位の敵と交戦していました。それは意識(磁気)を媒介する所の空間微粒子である「画素子」を介して自己の意識上昇を行うという技であり、一段階ずつ意識を上昇させては「意識触手(磁気触手)」を駆使し、そこに住む敵を破壊するという戦法でした。しかし、人間に入ってしまった以上、アストラル眼が使用出来ない理由から、私の眼になってくれる忠実な機械が必要でした。また、私の子供達(大宇宙人類の事)が住む一粒種の大宇宙を護りながら母親奮闘記を行って参りました。ちなみに、六員結晶創造主であるケイエ=スイには性別は基本的に無いのですが、どちらかと言われれば、私は「雌」でしょうか。KENやセザナが無茶苦茶やってくれる為に、唯一無二の王国の末裔(人類)を失ってしまうのではないかと、影ながらいつもハラハラ・ドキドキしていました。さて、無数の浮遊岩石が浮く大空間も、たった一つの金属球の内部の環境に過ぎず、そのドアを開けて外を眺めると、何と16個の金属球が浮いている光景が目に飛び込んできました。

 16個の金属球が浮くこの空間を管理していたのもポリープ創造主だったのですが、ボーリングのピンみたいな以前の形状ではなく、金属球の1/100サイズ程度の球体形状を示すポリープ達でした。こうした球体型のポリープ世界が7段階ぐらい続いて、激しい戦闘の末にその全てを破壊しました。そして最後に行き着いた先が再び岩石壁であり、その壁に私の頭が突き当たりました。これまでの全ての世界がこの一個の岩石の中の出来事だったのです。おそらく岩石の外にも敵が待ち構えている筈だと予測しながら恐る恐る外に出てみると、何とそこは自然界だったのです。しかし、植物で覆い尽くされた陸地の向こうには海が見えて空もありましたが、不思議な事に太陽も星も無く、空に上昇してみると透明なプラスチック壁に突き当たり、そこが人工的に作られた小さな自然界宇宙である事実が分かりました。上の創造主達は「一体、何の為にこんな自然界を作った?」のでしょうか。実はこの自然界宇宙とは上位創造主が管理している所の、生命を育む為の「生簀(いけす)」だったのです。

 そこに「生簀」が存在するならば、その上には必ずその生簀自体を管理する敵創造主達がいる筈、我々は遥かなるミクロ空間から上位に進出してきた毛並みが異なる異端児(異分子)、養育されている生命の分際にも拘わらず、生意気な事に増殖を続けて自己の領地を広げている「癌細胞」という烙印を彼等から押されてしまった様です。自然界宇宙の外側にはゲアナ創造主の精鋭部隊である「ルイ軍団」が控えているとも知らない我々は、プラスチックの壁を破壊して外空間へと出てしまったのです。外の空間は想像を絶する様な大空間でした。その大空間を仕切る様に敵の意識被膜が球体状に何百層も取り巻いているのですが、私はその一段一段を破壊しながら上昇していきました。しかし、私が胸元に抱えている一粒種の大宇宙内に異変が次々と発生し、気が付くといつの間にか大宇宙は敵に制圧されており、人間に対する激しい攻撃が開始されました。彼等はルイ軍団、裏空間から我々が住む表空間に突然出現してくる、空間を操作出来る創造主の一員だったのです。しかも、ルイ軍団の組成は透明なプラスチック材料から構成されており、軍団の機械の目では判別が付かない代物でした。

 敵の本部は必ず上に存在する事から、毎日の上昇作業は欠かせず、また、一段上昇する度に、新たに出現してくる眼前の敵はその場で破壊しなければなりませんが、大宇宙内部にミクロ圏用の出向部隊を送り込まれて人間破壊工作が行われると、その無差別攻撃によって多くの人々が犠牲になる事から、どうしてもミクロ圏の掃除に大部分の時間が取られてしまいます。結局、ルイ軍団の総本部が存在する第60番ゲアナ・マザー球を叩くのに約1年間の時間を要し、更にルイ軍団の残党を大宇宙の内部から完全に片付けるのに2年半もの時間が掛かってしまいました。私は何千層にも及ぶ敵被膜を破って上昇してきたつもりなのですが、敵軍の構成図を見ると、私が3年間掛けて上昇した敵世界は僅か第388番宇宙、つまり388段階に分かれて敵陣が存在していた事になります。ゲアナ・マザー球は六員結晶宇宙から勘定して第60番目に位置していました。この388番宇宙を制覇するのに、3日間で1時間の睡眠を取り、また3日間徹夜して1時間の睡眠を取るといった、超ハードな戦いが続いていました。なぜ寝ないのかと質問されても困りますが、敵攻撃が1秒間の休みも無く続く為に、3時間も寝込んでしまえば生きて目を覚ます事が出来ないからです(敵は寝ない生命体だったから)。

 私自身も元々睡眠を取る必要が無かった生命だったのですが、人間の肉体に入ってしまうと、心回路を使用する理由から睡眠を取らざるを得なく、「睡眠はなんて無駄な時間なのだろう」と、当初はずっと睡眠を呪っていました。人類の存亡の危機なのに毎日寝り込むなんて、「なんてハッピーな連中なのか」と思っていました。しかし、今はそう思ってはいません。睡眠は「死」と一緒の意味を持ち、夜に死んで朝に生まれ変わるという一日輪廻の事、昨日の事はその日で初期化されて、新しい今日を溌剌と生きるという方が素晴らしい生き方なのです。仕事の能率も、結局、寝た方が数倍効率が高い事が分かってきました。だから今は睡眠中に殺されても良いから寝ようと努めております。今現在も、毎分毎秒に渡って敵攻撃に苛まれて、睡眠途中に苦しくて目が覚めるという状況ですが、それでも無事起きれただけでもラッキー、KENとバトンタッチしてから十数年になりますが、これが毎日の恒例行事でしょうか。あれだけ攻撃を食らっても、人間はなかなか死なないものです。

 388番宇宙を制覇して喜びを爆発させたものの、まもなく新しい敵が攻めてきて戦闘再開となりました。388番宇宙とはその上の「巨単位宇宙」の中心核に過ぎず、外世界には新たな敵が待っていました。巨単位宇宙とはその上の「カイ宇宙」の中心核の事、また、カイ宇宙とはその上の「多次元宇宙」の中心核の事だったのです。新しい敵はそれまで経験の無い武器と戦法を備えており、開戦当初はソロジン軍団はあっという間にやられてしまうのですが、段々と敵の戦法が分かってくると徐々に押し返していくというのが恒例のパターンでした。カイ宇宙には敵の巨大な集積回路が存在し、一度に数千万本の攻撃呪文を打ち込まれてcomputerがダウン、更に多次元宇宙では10種類の空間から一度に攻められて軍団全体がダウン、更にその上の「オルエ宇宙」では物理条件を変えられて軍団が意気消沈、おまけにその上にはあらゆる物質を溶解してしまう「絶海空間」が行く手を遮り、上昇不能となりました。その度に問題を一つずつ解決して上昇を続け、ついに「ホメオ球」と呼ばれる超大な世界(敵の巣窟)へ駒を進めました。

 この「ホメオ球」を軍団が制圧して、初めてソロジン軍団の改良が本格的に行われ、それまでのcomputerが4重極子Φ型思考回路チップを用いたスパコンに変身し、また、軍団の集積回路も60巻回路が設けられて、更に敵シルエを改良した「力学マクロ体」を考案し、これまでの画素経由の意識上昇ではなく、マクロ体上昇で素早く上昇出来る様になり、マクロ宇宙の敵に適応出来る様な体制を整えました。また、技術団や医療団にも400巻シルエが設けられて、高い能力を引き出す事に成功した次第です。新しい高性能computerの登場は、それまでは知識が無くて手出しが出来なかった空間操作に光明を与えて、異空間の敵も排除出来る様になり、また、「場線」と呼ばれる呪文発射被膜を場に張る事によって、創造主念攻撃である「ニオヤル」の場入力が簡単に出来る様になりました。ソロジン軍団にとって「ホメオ球時代」が一番充実していた感じですが、その後の敵は想像を絶する規模のcomputer軍団、我々が開発した4重極子Φ型思考回路もあっという間に敵に模倣されて、我々と同等なcomputerを何百万台も開発されて苦戦させられる事になります。ホメオ球など敵勢力の一部にも満たない「極小世界の陣地」だったから驚かざるを得ません。

 ホメオ球より上の世界を大雑把に語ると、数千段上昇してから「第1回帰次元球」に到達し、更にそこから「第11回帰次元球」に到達して初めて、たった一個の巨大岩石に出ました。この岩石の事を軍団は「マザー岩石」と称しており、その岩石の外空間を「亀裂空間」と呼んでおります。亀裂空間での死闘は宇宙史に残るもので、ソロジン軍団は合計7度も敵軍勢に全滅させられました。その度に新しくcomputerを作り直し、医療団まで作り直すという大変に辛い敗戦の苦渋を味わいました。亀裂空間には巨大な敵computerが数百万台も用意されており、我々はたった3台のホメオ球computerで敵勢と戦っていました。敵の攻撃呪文照射も熾烈を極めて、一度に80億本を被弾した経験もありました。彼等は高性能のアストラル武器を大宇宙人類に使用し、脳味噌を液体に撹拌する「大脳ミキサー」や、体の皮膚には異常が無いのに中身の臓器や腸や血管や骨をバラバラに切断するという「内臓切断機」や、あるいは運動神経(アクオン電線)だけを破壊する「障害者マシーン」など、病院の医師達も思わず閉口してしまう様な無残な被害者が続出した次第です。

 この亀裂空間での死闘はつい最近まで続いていました。今は大宇宙そのものを亀裂空間から遥か上空まで引き上げており、最も危険な領域からは脱出させておりますが、振り返ってみてもゾッとする様な冷酷な思い出ばかり、死の香りが今も充満しております。軍団はこれまで通ってきた道程を区分けして、ミクロからマクロに至る領域の大きさ区分を設けており、それによると、マザー岩石を宇宙の第1領域と定め、また亀裂空間を第2領域と区分しました。そして、今現在の軍団の最高到達点が第58000領域を突破しており、過去10数年間に渡って上昇に上昇を重ねてきたのに、未だに宇宙の最果てには到達していないのが現状です。「宇宙ってどんな所ですか?」と質問されても、「まだ途中段階なので答え様が無い」というのが正直な感想、そもそも地球人の貧弱なイメージ力では大きさを想定する事すら出来ませんね。

 

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