〈セジス・グレイの基地配置: その2〉

 セジス・グレイを用いたルヒイ・ベテルギウス(総人口8000万人)の活動目的とは、射手座の星雲銀河に張大な「未来都市」を建築して、そこを足場に他銀河系へ進出する計画だった。銀河ルヒイ神にとって、一番重要な事は自分達の肉体(魂体)を保持し続ける事であり、「永遠に生きる事」、それが彼等の命題だった。もし「魂体採集」が途切れれば、銀河ルヒイ神は何も出来ない無能な「凡神」へと戻ってしまう。銀河ルヒイ神にとって、今更コヒイ神(成仏神)に戻る事は「死」を意味していた。「個を滅却して全体へ帰納する事」、これが宇宙の掟なのに、彼等は「個」の存続に拘り、「生」を選択した。これは儚くも人間期間を途中で強制終了されてしまったベテルギウス民族の怨念なのだろうか。オリオン帝国の銀河ルヒイ神の数は既に10兆人を上回っており、どう考えても天の川銀河系での魂体採集は限界に達していた。魂体を交換しても、50年も経てばもう魂体寿命が訪れて、次の若い魂体が必要となる。彼等が安心して生き続ける為には、魂体を継続的に提供してくれる他銀河系の新しい人類が必要だった。
 
 「銀河の大虐殺(2万年前)」の後、天の川銀河系は「銀河ルヒイ神」の世界へと変貌したが、やがて各部族がアストラル戦艦を駆使して再び部族間抗争が勃発した。銀河を舞台にした神々同士の戦いは、今から1万2000年前から本格的に始まって、西暦1600年代(江戸時代)まで続いて、やっと大方の決着が付いた。結局、オリオン側(元の銀河ファラ王=ベテルギウス)が勝利を収めた格好になったが、まだまだ戦況は不安定な状況が続いていた。ベテルギウスが「グレイ・ヒューマノイド」を本格的に稼働させたのは、無論、物質基地(ブメデジ)を築いて物質円盤を作ってからである。グレイ艦隊が戦闘に送り込まれたのは、今から8000年前の話である。また、「聖地」を除く全ての人間惑星の月裏にグレイ基地を設けたのは、今から900年前の事である。無論、聖地(地球)の月裏にグレイ基地が設けられたのが一番最後であり、それは元寇(1274年)の後の事だった。当時のグレイ・ヒューマノイドは身長が1mほどの猿を使用していたが、猿に憑依させられたルヒイ神はオリオンの奴隷民族であり、男性だけであるが、40年交代制でグレイ当番を請け負っていた。
 
 ベテルギウスがセジス民族をグレイ当番に使い始めたのはつい最近の話(200年前)、それは銀河大戦がほぼ終了してからの200年後の話である。大戦に大方の決着が付いたと言っても、ネワブジ連合は未だに屈していないし、また、巨大になり過ぎたオリオン連合そのものに分裂の兆候があって、不穏な情勢が続いていた。ベテルギウスは銀河の絶対政権を維持する為に、更に強固な物質艦隊を作り上げようと、グレイ・ヒューマノイド専用の専属民族を作った。その犠牲になったのがセジス民族だった。セジス民族は今から7000年前にセジス本星(ハオ)が消滅してから霊魂体民族となり(大脳コントローラー洗脳民族)、彼等の一部は炉座のベテルギウス本部に運ばれて特別な英才教育を受けていた。また、ベテルギウスは猿の改良にも取り組んで、王国直伝の「ヒト化遺伝子」を模倣した遺伝情報を「猿の惑星」の劣化猿に投与し、道具を扱い直立歩行で歩く「原始人」を作り出していた。人間に極めて近い猿を使用した優秀な「猿ヒューマイド」、それがベテルギウスの「セジス・グレイ」だった。
 
 人間生命を猿の身体に入れるのは本能的に極めて「抵抗」が強く、猿を殺して逃走を図る者も多かった。ましてやグレイ猿は男性ばかりの軍隊組織である事から、40年間にも及ぶ猿ヒューマノイドの当番は奴隷民族にとっては耐え難い地獄だった。そこでベテルギウスは改善策を検討し、ペアー単位の猿を用意して、夫婦単位で猿に入ってもらう体制へと切り替えた。無論、性器は切り落とさず、雌猿の方に避妊措置を施すだけの改良である。そうでもしないとグレイ猿の専属民族など作れなかったからである。遺伝子改良を受けた猿は毛向けじゃらの原人顔であるが(映画スターウォーズのチューバッカに酷似)、身長もあって歩行も人間に近く、また5本指で腕を器用に使える為に、猿の肉体操作で仕事にギャクシャクする事は無かった。また、ベテルギウスは「惑星仮位相」の改良にも取り組み、生命型を転写する方式の優秀な仮位相を作り出した。これによって、戦闘機乗りの様なフリーな猿の肉体寿命を大幅に延ばす事に成功した(3年→8年)。無論、農業労働者や工場労働者として惑星に固定させて働かせる場合は、そこが生物惑星であれば本位相(生命型一致)を用意して、肉体寿命(50年程度)が訪れるまで命を延ばす事が出来る。
 
 猿ヒューマノイドを作り出す生命工学の手法は、捕獲した猿を船内位相に接続させて、円盤が飛び立てば猿は昏睡状態に陥る。その輸送の最中にアストラル機器の「意識ブロッカー」を頭頂部に埋め込む作業を施す。基地に到着すると惑星位相を挿入して、猿の命を継続させた状態で医務室に寝かせ、猿の魂体を身体から引き剥がし、人間の霊魂体を猿の肉体に入力してから仮位相のタボ線をかましてやると、猿ヒューマノイドが誕生してくる。猿の意識活動はブロッカーで遮断され、更に魂体を外された事によって大脳12アンテナとオーブ核を失って、心活動が完全にストップする。その代わりに人間が意識活動を行い、心活動が可能となり、猿の肉体を自由に操作出来る様になるのである。こうした一連の作業によって、霊魂体宇宙人に猿の肉体を与えて物質世界で働ける人員を作り出していくのである。
 
 「生命工学」と言う禁じられた生体操作、連中はまるで神様みたいな真似事をするのだが、だがよく考えてみれば、彼等は「銀河ルヒイ神」であって、人間ではなく正真正銘な神様に他ならない。そのぐらいな事は出来る能力を有していた。人間は死んで魂体を失えば神様になるが、逆に神様に魂体を与えれば人間に戻る。つまり人間=神なのであって、大差は余り無い。悪い人間が神様になれば「悪神」、良い人間が神様になれば「善神」、それだけの話であろうか。地上では「神など信用出来ん」という人間も多いが、その言葉には一理も二理もあって、説得力がある。さて、セジス・ヒューマノイドは基本的に8年単位で猿に肉体を交換しなければならないし、また50〜60年単位で自己の魂体も新しい魂体と交換しなければならない。これはヒューマノイドの宿命であった。ベデルギウスはセジス・グレイを使って、人間時代に果たせなかった自分達の夢の続きを実現させようとしていた。それが彼等が最後に築いた射手座星雲の「未来都市」に象徴されている。
 
 射手座星雲には二大都市があって、最初に作った「シエラ基地」と、後で作った「メオカミ基地」がある。西暦2000年頃から最初にシエラ基地の建設が始まって、その2年後にはメオカミ基地の建設も始まり、更に2005年頃には「ムエオ基地」と「ウジキ基地」という二つの食料基地の建設も始まった。これらの基地建設はベテルギウスの総力を挙げて行われたものだった。一体何が凄いのかと言えば、街の環境装備の凄さと、超伝導リニア列車で街と街が結ばれているからである。特に「メオカミ基地」は氷河期真っ最中の「氷の惑星」なのに、超大な地下都市が建設されており、そこでは他銀河系まで進出が可能な最新鋭の宇宙船が建造されていたばかりか、1000万人(500万所帯)を収納出来る大規模な集合住宅街が作られていたからである。セジス・グレイが基地を放棄して一斉に母星へ戻ったのは今から10年前の西暦2012年頃の話であり、彼等は基地施設を短期間で作り上げて、稼働させるや否や、間も無く放棄した計算になる。考え様によってはまるで我々日本人の為に基地を作ってくれた様なものだ。
 
 下記は射手座星雲のセジス・グレイ基地と、数は少ないが、チビ猿のダダジ・グレイ基地の調査を行った結果である。我々はこれまでずっと炉座の「バエルヤ」を移住の対象星と定めて、様々な準備を進めてきた。しかし、今回行われた綿密な再調査の結果、いくら温暖な環境とはいえ、2万弱の所帯数しか収容力が無い星に(人口では6万人弱の収容人数)、230万人(75万所帯)もの日本人を移住させて、野ざらしのテント暮らしを強要するのは余りにも酷い話ではないかと考え始めた。なぜならば、未使用の新ピカ住宅がゴロゴロと存在する事実が分かったからである。平原にスコップで穴を掘って、その穴を跨いで「ウンチ」を垂れ流す様な真似を、果たしてウォシュレット・トイレを使用している文明人に対してさせて良いものかどうか、それをどうしても考えてしまう。脱出者は未来へ向かうのであって、原始野生へ戻る訳ではないからである。
 
 
 
  ③ 射手座矮小楕円銀河(SagDEG)のセジス・グレイ基地
 
   A〈シエラ基地(軍本部と食料生産基地=生物惑星: 60万本の仮位相)〉・・・恒星カノイム第3惑星(シエラ: 8万2000光年)
 
 ※ この星は射手座星雲の中では最初に基地建設が始まった惑星であり、8箇所の小基地から成り立ち、その一つに軍本部が存在する。基本的には食料基地であるが、ヒューマノイド生産所が一つと、軍の本部施設と農機具類の工場が一つある。大空港は全部18箇所である。幹部邸宅の総合計は1920棟、戸建住宅は48000棟、集合住宅(40戸)は1360棟であり、合計で約10万4000世帯の入居が可能である。八つの小基地のうち四つの街が「超伝導リニア鉄道」で結ばれており、農業生産も機械化された未来都市である。惑星シエラの星自体が第四氷河期(中生代と新生代の端境期)が終わったばかりの寒い星である事から(海が凍っていないのは赤道付近の中央部だけ)、露地栽培は無く、室内栽培か、または水耕栽培である。西暦2000年から基地建設が始まり、8年後に基地が稼働し、僅か3年半足らずの実働で、2012年に基地が放棄された。長さが3000kmにも及ぶ「超伝導リニア鉄道」の骨格管は、宇宙空間で組み立てられ地上に降ろされたものだ。
 
 射手座星雲は比較的若い銀河系であり、多くの太陽系が平均よりも若く、青白い光を放つ未熟な星が多い。太陽の成長段階によって惑星には氷河期が訪れるのだが、なぜこんな若い星に未来都市を建設しようとベテルギウスは考えたのだろうか。それは多分、長年に渡って星の終わりを見てきた神々だからこそ、長い天体寿命を有する若い星を選択したのだと思われる。恒星カノイムは地球太陽とほぼ一緒のサイズであるが、青白い光を放つ冷たい星である。カノイムは8個の惑星を抱く太陽系で、水の惑星は第3惑星のシエラのみである。惑星シエラの直径は地球と一緒、表面重力値は1.1、コア直径は300km、平均酸素分子濃度は20.4%、平均気温は赤道直下で6度C、自転周期は24時間、地軸傾斜角は23.4度、地球の月の3/4サイズの完全球体の衛星が一つ周回している。惑星シエラはこれから新生代を迎える年代層なので、哺乳類や霊長類が出現する以前の段階である。
 
 
   B〈メオカミ基地(円盤生産基地=生物惑星: 1200万本の仮位相)〉・・・恒星ノイガキ第3惑星(メオカミ: 8万1600光年)
 
 ※ この星は西暦2002年から基地建設が行われて、8年後の2010年に完成し、基地の初稼働が始まった。従って、実質的な稼働は2年弱であり、この星に住む予定のグレイ人口を増やしている最中に基地の放棄を余儀なくされた(約30万人のグレイが暮らしていた)。この星の住居数は、幹部邸宅が800棟、戸建住宅は無く、集合住宅(40部屋)が13万棟も存在する。所帯数に換算すると約520万所帯(1000万人)を収納するキャパスティを有する巨大基地である。集合住宅は約1万棟単位で、11箇所の街を形成し、それらの街がサークル状に配置されている。東京都の外周ぐらいの面積であろうか、外には11箇所の街並がグルリと取り巻いており、その地下には超巨大な地下街が存在し、内部には32箇所の超伝導リニア列車の地下鉄駅が存在する。つまり、東京都全体がスッポリ地下に埋まっていると考えて貰えば理解が早い。上空から見下ろせば、円状に広がる巨大な住宅街を見て取れるが、それ以外は雪に覆われて何も見えない。全て地下に埋まっているのである。辺りは雪景色で白一色、全海洋が凍りついて陸地を呈しているのに、なぜか住居街には雪が無い。住居街は透明なフードで防寒対策が取られているからだ。
 
 その巨大地下街から外部に向かう地下鉄路線は全部で4本、1本は西に向かう路線であり、外来空港や幹部邸宅のある地下街である。東へ向かう3本の路線は、北側の1本が「中型戦闘機工場」へ向かう路線である。また真東へ向かう1本が「小型戦闘機工場」に通じる路線である。そして南側の1本が「大型特殊円盤工場」へ向かう路線である。巨大地下街には32箇所の工場練が存在し、それぞれの地域で生活に必要な様々な道具が生産されていた。製紙工場もあれば衣服工場もあり、またクリーニング工場や掃除機や蛍光灯などの電化製品工場もあって、生理用のナプキンまで作られていた。地下街といっても、お店など1軒も無く、地下工場街と訂正しなければならないだろう。工場製品は配給制だった。外の気温は南極と一緒でマイナス80度にも達するのに、なんという快適な環境が整っているのだろうか。これぞ未来都市だと感激せざるを得ない。さて、たった2年間しか稼働しなかったメオカミ基地であるが、最新鋭の円盤生産の台数は、大型機が2000機、中型機が3万6000機、小型機が3000機、大型特殊が20機という内容だった。最新鋭機の売り物はその速度ばかりではなく、船内空気がアンモニア・ガスではなく通常の空気のままで乗船出来る所である。この基地には外来空港が一つと、三つの円盤工場にも地下空港が三つある。また建造された新型円盤は月基地と隣の第4惑星の格納庫の方で保管されていた。
 
 所で、なぜ氷河期は訪れるのだろうか。太陽の核反応周期には大きな変化が4度訪れる。これは渦巻流が大きく4層に分かれている事実に起因しており、中諦層(第1磁界〜第3磁界)、仮諦層(第4磁界〜第6磁界)、空諦層(第7磁界〜第9磁界)、妙諦層(第10磁界〜第12磁界)という4層の事である。これらの4層の事を地質学的に言い換えると、原生代(中諦)−古生代(仮帯)−中生代(空諦)−新生代(妙諦)と同じ意味を持つ。強い磁場重力が太陽コアを締め付けている一定期間はコアの核反応が抑制されて、太陽の光放出量は大幅に減少する。惑星にとってはこの期間が氷河期となる。反対に、重力が弱まる一定期間は太陽コアの核反応が促進されて、太陽は膨大な熱量を放出する事になる。惑星にとってはこの期間が温暖期となる。この宇宙の如何なる水の惑星にも基本的に4回の氷河期が訪れる。その度に温暖期に栄えた生物が死に絶え、次の温暖期には別な生物が栄える。原生代の終盤に訪れる氷河期が第1氷河期、古生代の終盤に訪れる氷河期が第2氷河期、中生代の終盤に訪れるのが第3氷河期、新生代の終盤に訪れるのが第4氷河期である。地球もそうであるが、霊長類は第4氷河期の後に誕生するものだと自然界では定められている。
 
 さて、惑星シエラは第4氷河期の終盤、一方、惑星メオカミは第4氷河期の真っ只中の時代に在って、一切の食料は獲得出来ない状況である。しかし、凍り付いた海の中でも生物は繁殖しており、また分厚い氷の下でも、特に火山地帯の地下では次の世に活躍する生物種が既に芽生えている。恒星ノイガキは7個の惑星を抱える若い太陽系であり、水の惑星はメオカミただ一つである。この惑星の直径は地球の1.05倍、表面重力値は1.2、コア直径370km、平均酸素分子濃度は20.1%、平均気温は赤道帯でマイナス40度C、自転周期は23時間、地軸傾斜角は23.6度、地球の月とほぼ一緒の完全球体の衛星が一つ周回している。創造主が惑星シエラと惑星メオカミの月を一目見ただけで、将来これらの惑星には「人間に成るに相応しい優秀な猿」が誕生してくるだろう事は誰にでも分かる。ベテルギウスがなぜこんな若い星を未来星として選んだのか、本当の理由はここに在ったのだ。デメリットしか無い惑星に対し、莫大な手間暇を掛けてあのベテルギウスが未来都市を建設する筈も無い。
 
 
   C〈ウジギ基地(食料生産基地=生物惑星: 仮位相30万本)〉・・・恒星ニブオー第3惑星(ウジギ: 8万2200光年)
 
 ※ この星はメオカミ基地に食料を送る為の基地として、西暦2005年から建設が進められてきたが、西暦2012年に建設途上で放棄された。この星では主に海産物と穀物類のフードパックを生産し、また製塩工場もある。大空港は1ヶ所で、幹部邸宅が100棟、戸建住宅が8000棟、集合住宅(40部屋)が200棟であり、総トータルで約1万6000所帯の収容人数である。恒星ニブオーは赤い星で、第4期が過ぎた太陽系であり、惑星を8個抱えている。第3惑星だけが水の惑星であり、惑星ウジギは第4氷河期が過ぎた「完新世」の惑星であって、「猿の惑星」である。手付かずの自然がそのまま残っており、住宅数は少ないが、将来は優秀な食料基地となる可能性が高い。もし、メオカミに人類が移住するならば、この星の開拓が急務となるだろう。ウジギの惑星サイズは地球のそれとほぼ一緒、表面重力値は0.98、コア直径は67km、平均酸素分子濃度は23.4%、平均気温は15度C、自転周期は24時間、地軸傾斜角は18.2度、小さな不完全球体の月が存在する。生物相も地球とほぼ一緒である。
 
 
   D〈ムエオ基地(食料生産基地=人間惑星: 仮位相30万本)〉・・・恒星ハエキ第4惑星(ムエオ: 8万1300光年)
 
 ※ この星もメオカミ基地に食料を送る為の基地として、西暦2005年から建設が進められてきたが、西暦2012年に建設途上で放棄された為に、現在は少々問題となっている。実はこの星には人間が住んでおり、なぜこの星に基地を建設してしまったのか首を傾げるが、ルヒイ・ベテルギウス植民地領であった為に、「魂体採集」の関係もあったのだろうと思われる。問題となっているのは、人間達がこの大陸に渡ってきて、基地内で暮らしているからであり、空港内の円盤の中にも入り込んでいるからである。今は管理者だったセジス・グレイも居ないし、またルヒイ・ベテルギウスも居ない。言葉を喋れない原始人ではあるが、人間は人間であって、猿とは違って侮れない。円盤は回収するが、これらの原始人が猟銃で狩りを行っている事から、殺す訳にも行かず、どう処理すべきか迷っている段階である。まだ原始人だから手の打ち様はあるが、これが地球人だったらと思うとゾッとしてしまう。円盤には核爆弾や分子破砕砲が搭載されているからである。
 
 この星には空港は一つ、幹部邸宅が100棟、戸建住宅が8000棟、集合住宅(40戸)が200棟が存在し、その数は惑星ウジギと一緒であり、トータル1万6000世帯の入居人数である。今は300名ぐらいの原始人が暮らしている状況であるが、ここは3万人規模の部落になってしまう可能性もある。天体としての恒星ハエキは9個の惑星を抱えた太陽系であり、第3惑星と第4惑星の二つが水の惑星であり、霊界が設置されたのは大きな完全球体の月を持つ第4惑星の方である。第3惑星は植物と昆虫だけの惑星である。惑星ムエオの直径は地球の1.3倍、表面重力値は0.97、コア直径は55km、平均酸素分子濃度は22.2%、平均気温は14.5度C、自転周期は25.5時間、地軸傾斜角は21度、第4氷河期を過ぎた完新世の星である。ベテルギウス亡き後、この星には霊界を管理するまともな人間神はいない。・・・セジス・グレイに関連した基地情報は以上である。
 
 
 

〈ダダジ・グレイの基地配置〉

 一般にグレイと言えば、アーモンド型の目をした姿が有名であるが、あれは宇宙服であって、仮面の下は正真正銘のただの猿である。セジス・グレイも宇宙服は装着するが、顔までは隠していない。ダダジ・グレイは木の上のチビ猿を使用していた為に、俊敏で動きは素早いものの、三本指の手ではさすがに不器用だった。今から1万2000年前、ベテルギウスがブメデジの猿(地上猿)を使って「ヒューマイド化」に成功したが、ブメデジの猿(五本指)は体が大きく動きが鈍かった。食欲が旺盛なばかりか、寒がり屋(熱帯性の猿)でのんびり屋で、しかも体力に乏しかった。そこで、炉座のフヌイレ惑星の小型の地上猿を使用したが、この猿でも思う様な結果が得られなかった。以来、チンパン系(ブイア・ブエデ)やゴリラ系(フォル・ブエデ)などの地上猿の使用を諦めて、木の上の運動系の猿(ネーウ・ブエデ: 現代猿)を使用する様に変化してきた。西暦4000年前頃から、オリオン座の「pi3タビット星(地球名称)」の第3惑星の猿(身長が1m程度)と、水瓶座の「HD-210-277星(地球名称)」の第3惑星の猿(身長が1m20cm)をメインに使用する様になった。一方、セジス・グレイには「ヒト化」した地上猿の改良系(身長は1m60cm)を使用した。
 
 オリオン帝国の奴隷民族の中でも、牛飼座のタダジ民族は比較的文明が発達した民族(地球人レベル)で、霊魂体宇宙人になった後もオリオンで宇宙教育を受けてきた。それに対して、カメレオン座のセジス民族は元々非文明人であり、一部の者はベテルギウスで宇宙教育を受けたものの、「人間ヒューマノイド」として使える様な知能ではなかった。オリオン帝国は植民地惑星の人類に対して「オリオン・ヒューマノイド」を送り込んで、政治的もしくは文化的な工作を施していたが、やはり物質世界が相手では物理的な裏工作も必要であって、ベテルギウスの力を借りざるを得なく、ヒューマノイド用員としての人材を提供してきた。例えば、ダダジ民族にとっては人間ヒューマイド工作に関しては喜んで請け負ったが、一方、猿ヒューマノイド工作に関しては苦痛以外の何物でもなく、40年間交代といえども地獄の日々を送ってきたのが実情である。ベテルギウスがグレイ・ヒューマイドの生みの親であるが、オリオン帝国側に搬入する一般的なグレイ猿と、ベテルギウス民族が専用で使用するグレイ開発を分けており、ベテルギウスは自分達が理想とする物質世界を創り出す事に執着していた。
 
 スパイ用員や工作用員としてのグレイ猿は小粒で素早く動ける体でなければならないし、またその猿を操作する霊魂体民族の方も賢くなければならない。しかし、畑を耕して街や建物や農園や円盤などを作るグレイ猿は体が大きくて従順に働いてくれる猿種でなくてはならないし、またその猿を操作する霊魂体民族の方にも「自分達の国造り」だとして夢や希望を与えて大事に扱わないと真剣に働いてくれないしまた戦ってもくれない。スパイ用員とは異なり任務期間などは無く、猿の肉体が死ぬまで労働に服さなければならないからである。 ダダジ・グレイとセジス・グレイの大きな違いはここに在った。地球人が多く見かけてきたグレイはオリオン系のチビ猿の方であり、猿の中身はダダジ民族だった。また人間ヒューマノイドとして各国の首脳陣を操作してきたのも同じダダジ民族だった。地球人はセジス・グレイとは余り縁が無く、時折、円盤の中から地上に降りてきた毛むくじゃらの大猿を見掛けた人がいる程度だと思われる。
 
 グレイ猿(猿ヒューマノイド)と物質円盤を用意してくれるのはベテルギウス、一方、グレイ猿用員を提供しているのはオリオン帝国であり、そのグレイ猿を使用するのもオリオン帝国である。一見、ベテルギウスもオリオンも同じ穴のムジナに見えるが、オリオン帝国を牛耳っていたのがベテルギウスだった。オリオン系の猿ヒューマノイドの本拠地とは、炉座のグレイ本星こと恒星ルエイ(ナヨムブズデ)の第3惑星(ブメデジ)である。この星は1万2000年前に開設された「猿ヒューマノイド」のふる里である。今から8000年前の銀河大戦の最中、炉座から飛来したグレイの物質戦闘機が華々しい活躍を見せたが、それ以来、グレイの物質戦闘機は銀河の中心部に駐屯させることになり、鳳凰座ψ星の第3惑星(マオキ)に基地を構えたが、やがて敵艦隊に居場所を発見されて基地は壊滅した。その数10年後に、今度は鶴座σ2星の第3惑星(ブオキ)に新たな基地を作って現在に至っている。ダダジ・グレイの総本部は炉座星雲のブメデジだが、銀河中心部の本部基地はブオキであり、ちなみに、数年前に地球に存在したグレイ円盤はブオキ本部に戻している。下記はオリオン系グレイの基地情報である。
 
 
   A〈ブメデジ基地(オリオン系グレイ総本部=生物惑星: 60万本の仮位相)〉・恒星リエル第3惑星(ブメデジ: 46万2000光年)
 
 ※ この星がグレイ・ヒューマノイドの発祥地であり、所謂オリオン系グレイの総本部が存在していた基地である。1万2000年前からの古代基地である。空港は全部で7箇所ある。現在も基地として活用が可能であるが、基地の大半が老朽化して崩れ落ちており、その9割は使用不能である。かつては円盤生産工場もあり、またヒューマノイド工場や食糧生産(食糧チューブ)や金属精製工場もあった基地だが、使えそうな建物は海岸沿いの幹部邸宅80棟と集合住宅(旧型)30棟と空港の寄宿舎ぐらいなものである。今から10年前には5〜6万人のグレイが働いていた。空港の総本部は機能していたが、ここに存在する物は古い円盤の残骸や、故障機や、荒廃が進んだ瓦礫と化した街並みだけである。恒星ナヨムブズデ(リエル)の第3惑星であるこの星は大変暑い星で、平均気温が26度Cという灼熱の星である。10年前(西暦2012年)に龍神が5万人のヒューマノイドを解放したが、その際の猿の遺体が空港に生々しく残っている。解放されたダダジ民族は皆牛飼座のダダジ本星へ戻した。
 
 恒星リエルは10個の惑星を抱える大きな太陽系であり、第2惑星と第3惑星(ブメデジ)が水の惑星である。第2惑星は植物星である。惑星ブメデジの直径は地球の約1.2倍、表面重力値は0.98、コア直径は70km、平均酸素分子濃度は24%、平均気温は26度C、自転周期は約26時間、地軸傾斜角は12度、小さな不完全球体の月が1個周回している。地質時代としては最後の第四氷河期を越した完新世の時代であり、惑星の終着駅である「霊長類の時代」に在る。ブメデジは大変美しい星であるが、人類がここに移住する事は難しい。
 
 
   B〈マオキ基地(破壊された基地=生物惑星: 仮位相120万本)〉・・鳳凰座ψ(プサイ)星の第3惑星(マキオ: 320光年)
 
 ※ この星は今から8000年前に敵に破壊されてしまった駐屯基地であり、短期間ではあるが食糧生産が行われていた。空港は四つ存在するが、滑走路はボコボコで円盤の残骸ばかり、また旧住宅街も原型を留めていない。しかし貴重な「猿の惑星(生命霊界)」なので、天体としての特徴だけは述べておこう。鳳凰座のψ星のオリオン名称は恒星スベエオという。惑星を12個の惑星を抱える準巨星(地球太陽の30倍の大きさ)である。水の惑星は第3惑星ただ一つであるが、第6惑星に核反応の火が点って二重星を呈している。惑星直径は地球の1.5倍、表面重力値は0.94、コア直径は60km、平均酸素分子濃度は22.4%、平均気温は22度C、自転周期は約27時間、地軸傾斜角は13.1度、大きいが不完全球体の月が周回している。地質学的には完新世の時代であり、手付かずの自然を残す猿の惑星である。
 
 
   C〈ブオキ基地(軍本部と食糧生産基地=生物惑星: 仮位相120万本)〉・・鶴座σ2(シグマ2)星の第3惑星(ブオキ: 77光年)
 
 ※ この星は8000年前に最初の基地が建設されたが、以後老朽化に伴い2回に渡って基地が再建されている。古い空港と街が2箇所存在するが、3回目は別の大陸の方に作られた。新基地の構成は2箇所、食糧工場が2箇所あり、幹部邸宅や戸建住宅は無く、集合住宅(32部屋)だけが3300棟軒を連ねている。この集合住宅はセジス・グレイのテリ基地から70年前に供給されたものであり、ここには総トータルで約20万人のダダジ・ヒューマノイドが10年前まで暮らしていた。中には故障機や事故機が結構あると考えられるが、一応この星に今現在存確認出来る円盤は、小型戦闘機が約2000機、中型戦闘機が36機、大型貨物機が7機である。小型機の一部(600機)以外は、いずれもセジス系の円盤とは異なるブメデジ産の古式な円盤であり、「大丈夫なのか?」と乗船を躊躇うようなダサイ円盤である。我々としては600機の小型機に付いてはセジスからの提供物なので回収させてもらうが、残念ながら旧式円盤は廃棄処分である。食糧基地は2箇所とも小魚のチューブ・パックを生産しており、ダダジ・ヒューマノイドはチューブ吸引で食糧を摂取していた。
 
 鶴座のσ2星は8個の惑星を抱える太陽系であり、第3惑星だけが水の惑星である。惑星直径は地球の1.2倍、表面重力値は0.97、コア直径は70km、平均酸素分子濃度は23.3%、平均気温は16度C、自転周期は約24.5時間、地軸傾斜角は17.3度、小さな不完全な月が2個周回している。この星も完新世の時代であり、猿の惑星であるが、地球の至近距離にある惑星なので、緊急用の場所にはなると考えている。
 

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