〈人工ホルモン(物質信号)の効用〉

 生体物質や細胞が固有の周波数(ベルツ)からなる物質信号を放って、相互の意思伝達や命令指揮が行われている事実は承知の通り、しかし、残念ながら地球医学はまだ力学的な信号音である物質信号の存在自体を知りません。アドレナリンにしてもメラトニンにしても、あるいはインシュリンやプロゲステロンにしても、極少量の分泌量のホルモンなのに、「なぜ、あんなに劇的な効果をもたらすのか」、その理由を求めて、分子構造を徹底的に解析し、如何に化学的な性質を追求した所で、結局答えは何も出て来ませんでした。最近になってようやく分かってきた事実は、ホルモンを感知する器官(GPCR:  Gタンパク質共役受容体)が個々の細胞側に存在する事であり、それを介してホルモン伝達が細胞内部にまで行き渡る事実が明らかになってきました。ちなみに、Gタンパク質とは「グアニンヌクレオチド結合タンパク質」の略名であり、GTP(グアノシン三リン酸)やGDP(グアノシン二リン酸)と結合したタンパク質の事です。地球科学はこれらのGタンパク共役受容体の事を「シグナル伝達物質」であると理解しており、薬学に於いてはGタンパク質をターゲットとした高度な治療薬の開発が進められている状況です。

 Gタンパク質受容体が「シグナル伝達物質」であると認識が出来ているならば、真実に辿り着けそうなものですが、彼等にはシグナルの意味そのものが分かっておらず、ただホルモン・シグナルの受容体であると解釈しています。重要な事は、ホルモン受容体がホルモン分子と実際に結合していないのにホルモンのシグナル(意思)が細胞内にちゃんと伝達される事であり、「ではホルモンの一体何がシグナルを伝達しているのだろうか」と疑問を持つ事でしょうか。ホルモン分子と細胞の受容体が直接接合していないのに、一体どういうメカニズムで伝達が行われるのだろうか、と考えていけば、それが光系の波動伝達なのか、それとも磁気系(電気系)の伝達様式なのか、もしかしたら人類が知らない伝達様式かもしれないと、徐々に真理に近づいて事になります。もし波動系ならば物質内部では伝わらないし、また磁気系であるならば伝線や導線が必要、あらゆる物質を楽々と貫通して伝搬されていく信号と言えば、「力学信号」しかこの宇宙には存在しないのです。力学音とは立体的な力学構造を有する物質が振動して周囲に放つ音(力線)であり、波動の周波数(ヘルツ数)とは根本的に異なりますが、放射力線の力束量(ベルツ数)で強さを測る事が出来るものです。

 つまり、ホルモンとは化学的に作用を及ぼす物ではなく、その一分子自体が物質信号(力学信号)を放つ信号器であって、その力学信号をキャッチするのがGタンパク受容体なのです。従って、ホルモン構造を真似て似非ホルモン分子を作った所で、あるいは新薬を開発してGタンパク受容体へ刺激を送った所で、それは力学信号では非ず、何の効果も現れない代物なのです。その様な意味では製薬会社が取り組んでいる現行の治療薬の開発は無意味だという事になります。宇宙医学に於いては、生体ホルモンが放つ力学信号を解読し、それと同じベルツ数を放つ人工ホルモンを開発しています。残念ながら、全てのホルモンが力学音を発するタイプではありませんが、特に脳(視床下部や脳下垂体)で生産される重要な神経ホルモンの大半が力学音を発するタイプであり、そのうちの7割は人工ホルモンとして実際の治療に使われてきた経緯があります。本日の話は人工ホルモンを使った宇宙医学の知見であり、実際の治療例を幾つか挙げて説明したいと思います。


    〈① 皮膚活性ホルモン〉

 別に地球人の女性でなくても、高齢になれば若い頃の弾力性に富んだ瑞々しい肌を恋しがるものです。皺(しわ)クチャのお肌よりも張りのある若いお肌の方がやはり美しく艶(つや)があるからです。肌の若返りに関する研究は遥か過去世の人間王国時代から追求されてきた人類の命題の一つですが、当然、過去の銀河連合国の時代に於いても、200近い民族のそれぞれが研究を重ねてきました。しかし、視床下部ホルモンの一つである「皮膚活性ホルモン(地球名: メラニン細胞刺激ホルモン放出因子: MRH)」が、個人差はあるものの満42歳から満43歳頃には分泌が停止してしまう事から、人類はこのホルモンを人工的に作り出そうと躍起になって奮闘してきましたが、残念ながら、MRHホルモンは人工的に合成された試しは一度も無く今日に至っています。MRHホルモンの分泌量のピークは約19歳(再生周期が28日間)、それから段階的に下降線を辿って、43歳で分泌が停止します。一方、MRHホルモンの対抗馬である「メラニン細胞刺激ホルモン放出抑制因子(MIH)」は20歳頃から分泌され、50歳頃には分泌が停止します。大きなお肌の曲がり角は約29歳、皮膚活性がガクンと減って、皮膚の再生周期も約40日間となる様です。

 つまり、43歳になればMRHホルモンが停止し、50歳ではMIHホルモンも停止してしまう理由から、皮膚を維持するホルモンが悉く消えてしまう事になります。MIHホルモンが皮膚活性を抑制する理由は、皮膚活性には身体の膨大なエネルギー消費が伴うからであり、血液の総量の1/3が皮膚に存在する事を考えれば、皮膚活性が何十年間にも渡って続く事は身体に大きな負荷を与える事になるからです。宇宙医療では「MRHホルモン分泌促進器(物質信号器)」の開発に成功し、失ったホルモン作用を復活させる事に成功しましたが、全身の皮膚活性は体力を大きく損ねる理由から、その投与期間は一生に一度だけ「最長で1年間」と定めています。これぞ究極的な「アンチ・エイジング術」ですが、健康面で危険性を伴う理由から、医者(人間の宇宙ドクター)に管理してもらう必要があります。また、皮膚活性には基準を満たす分量のエストロゲン(卵胞ホルモン: 人工ホルモン有り)調節が必要となります。実際の治療例に関しては、現在「テストの続行中」の段階にあって、促進器を仕掛けてからまだ2週間前後の状況ではあるものの、顔面が瑞々しくフックラとなり、また首や眉間の皺が目立たなくなって、更に法令線の谷間が徐々に薄れてきている状況です。どの人も施行をしてから4〜5日間で「違い」が感じられている様です。

 今世の宇宙では1年間を通した実験例がありませんが、王国時代の過去世宇宙に於いては広く用いられてきた「若返りの秘伝法」であり、その資料が残っています。皮膚は基本的に「表皮」と「真皮」に分かれていますが、MRHホルモンは表皮細胞の「メラノサイト」や「ケラチノサイト」や「プロテオグリカン生産細胞」などを活性化させるばかりか、真皮層ではコラーゲン繊維を生産する「コラーゲン生産細胞(繊維芽細胞)」を活性化し、更に毛根を活性化させて髪の総物量を増す様です。皮膚の代謝が盛んになって30日間サイクルになる事から、個人差はあるものの、メラニン色素が沈積したシミやソバカスが薄れて取れていくばかりか、弾力性に富んだ透き通ったプリプリお肌へと切り替わっていく様です。無論、年齢的に閉鎖したMRHホルモンが実際に分泌されている訳ではなく、細胞側のMRHホルモン受容体に対して「同ベルツ数」の力学信号を送る事によって、全身の皮膚活性を促している事になります。50歳という年齢を超えると、対抗馬のMIHホルモン分泌が自動停止する事から、MRHホルモンの効果が飛躍的に跳ね上がる事になります。MRHホルモンの細胞活性とはいわゆる「細胞ヒール」の活性の事です。皮膚細胞の寿命は短くなるものの、激しく命を燃焼させて最大限に働いてもらうという筋書きに基づく施術法です。

 所で、この美容術の欠点は、若い人には必要が無い事と(最低43歳以降の年齢制限)、また癌患者や心臓病患者や肺炎患者など、大病を患っている患者には施行出来ないという体力制限がある事です。従って、宇宙ドクターの診察を受けて、基礎的な体力面でOKが出た人でないと施術を受けられないという「適合制限」があります。結核菌やレジオネラ菌やカビ菌などに犯されている肺炎患者にこの美容法を施行すれば、あっと言う間に体力が奪われて急性肺炎を引き起こすだけの話、その病気を治して健康にならないと施行は出来ない相談なのです。また、1年間の施行中に緊急事態が起こらないとも限らず、そういう場合は美容施行を一時的に中断しなければならない事態もあり得る事から、やはり1年間の施行期間は宇宙ドクターの管理下になければならず、また、1年後には体にセットした機械を取り外さなければなりません。MRHホルモン施行は宇宙最強の若返り施術ですが、残念ながら受けられる適合者と、受けられない不敵合者がいる事から、お金を積まれてもどうにもならず、その様な意味では万人用ではないかもしれませんね。まあ、宇宙医学にも美容施行術があるという事を知って欲しいと思います。現在、MRH発信器は500台の在庫があります。


    〈② 睡眠ホルモン〉

 以前、ブログで紹介した松果体ホルモンの「メラトニン」ですが、その後の研究開発が進んで、宇宙医学では今は「人工ホルモン」が完成しています。睡眠を誘導する「シャットダウン・ホルモン(活動停止ホルモン)」は地球名でも「概日ホルモン(25時間の体内時計リズムを刻む日長ホルモン)」と呼ばれており、睡眠と大きく関わっているホルモンです。このホルモンの分泌量に不足が生じると、いわゆる「不眠症」となる訳ですが、その患者数が意外と多い理由は、霊長類共通のヘルペス・ウイルスである「EBウイルス」が好んで松果腺に住み着いて、ホルモン生産細胞を破壊するからです。メラトニンは再生不能の脳ホルモンの一つであり、また、日周期の変化に応じて分泌が起こるという非常に厄介なホルモン故に、王国医学でも人工ホルモンが作れなかった難度の高い代物です。今回、我々はメラトニン受容体の研究から固有の力学信号を割り出し、それと同じ信号を放つアストラル機械を開発しましたが、実際のホルモンは3時間に渡って効力を発揮する力学発信器であって、そのホルモンを分泌するしないは生体ヒールのその日の判断に委ねられており、発信器だけを開発しても余り意味のあるものではありません。

 我々の組織会員の多くが「メシア・スーツ」を獲得している理由から、布団に入る前に「メシア、俺は寝る、メラトニン照射を頼む」と命令を伝えれば、本人が眠りに落ちるまでスーツが「消灯ホルモン」を打ち続けてくれるのですが、一般の不眠症患者に対してこの人工ホルモンを投与する事が出来ないのが玉に瑕、生体ヒールの命令に従って作動する3時間ホルモン分泌器(機械)の開発はまだ達成出来ておらず、依然として乗り越えられない難壁が眼前に聳え立っている状況です。生体ヒールの感受を読み取れる小型の集積回路を搭載した睡眠誘導器を開発して、不眠症患者のベッドに装着し、頭部に埋め込んだ発信器から消灯ホルモン信号が繰り出されるという大げさな機械を駆使すれば物理的には可能ですが、1人の人間の不眠症の為にそこまでやる必要は無く、莫大なお金を掛けるぐらいならば、生命論を勉強して無料のスーツを勝ち取った方が早い事になります。我々としてはメシア・スーツ管理ではあるものの、取り敢えず「人工メラトニン」を開発した事は確か、眠れない方に快眠を誘導出来る様になった訳ですから、これは技術団の成果であろうと思っています。メシア・スーツに「メラトニン信号器」を標準装備するべきか否か、論議を呼ぶ所ですが、少なくとも組織会員の不眠症は無くなる事は確かです。


    〈③ 月経困難症ホルモン〉

 毎月の月経が異常に重く、まるで流産でもしたかの様に大量の出血に見舞われる方がいます。子宮内粘膜が妊婦の如く厚くなるからです。こうした月経困難症には様々な原因が考えられますが、どんな治療を施しても治らないという場合は、視床下部ホルモンの一つである「プロラクチン抑制因子(PIF)」の分泌異常が考えられます。大脳の中心部にはやはりヘルペスのEBウイルスが住み着いており、普段は寝ているウイルスですが、何かの原因でそれらのウイルスが活性した場合、松果体や視床下部や脳下垂体などのホルモン器官がやられてしまいます。脳ホルモンの異常の大半はヘルペス・ウイルスによるものですが、中には滅多にありませんが、マクロ宇宙の敵軍団が放った「物質貫通弾」を食らって脳組織を大きく損傷している方もいれば、また、ヘルペス以外の脳ウイルスに感染している方もいます。いずれにしても、脳ホルモンの分泌異常は大変な事態を招来させる事から、ホルモン分泌量の正常値を常に確認しておく必要があります。我々の組織にも月経困難症の方が居て、一体何が原因なのかさっぱり分からず、約1年間を棒に振ってしまいました。まあ、1年間も患者を苦しめた結果になった訳ですが、まさか月経困難症の原因が脳にあるとは想像も及びませんでした。

 脳下垂体は視床下部の付属器官の様な存在であり、重要なホルモンの大半は視床下部に存在しています。視床下部は全部で15種類のホルモンを分泌しており、その大半が他のホルモン器官を操作する為の指令ホルモンです。下記に視床下部ホルモンの一覧表を掲載していますが、参照して頂ければと思います。プロラクチン(PRL)は脳下垂体前葉の「プロラクチン生産細胞」から分泌されるホルモンであり、乳腺の発達や妊娠の継続などに関係する基礎的な生理ホルモンです。この下垂体ホルモンの分泌をコントロールしているのが視床下部組織であり、互いに拮抗的に作用する2種類のホルモンでプロラクチン分泌を遠隔操作しています。その一つが「プロラクチン放出因子(PRF)」であり、もう一つが「プロラクチン抑制因子(PIF)」です。今回の患者は若い独身女性であり、PIFホルモンが停止状態であった理由から、まるで妊婦の如くPRFホルモンが継続的に分泌され、そのお陰で卵巣のプロゲステロン(黄体ホルモン)の分泌が促進されて、まるで妊娠でもしたかの様に毎月肥厚した子宮内粘膜が崩れ落ちる為に、流産の如き辛い月経が訪れていた訳です。一度失ったPIFホルモン分泌組織はもう二度と回復する事はありませんが、技術団がホルモンの信号解析から「人工ホルモン」を開発してくれた事から、適量を脳内に設置して、今現在はプロラクチンのコントロールが出来ている状況です。


    〈④ 拒食症ホルモン〉

 これは数週間前の話ですが、組織会員の母親から娘さんの拒食症の相談を受けていました。原因を調査してみると返答はしたものの、未だに拒食症の原因は分からず終い、多分食中枢が存在する大脳辺縁系の領域に何かの異常があるのだろうという察しは付けてはいたものの、具体的な原因が分からない状況でした。ちょうどその頃に、食中毒患者(60歳代後半の男性)の治療を引き受けていたら、治療後も激しい嘔吐に見舞われて、全く固形食が取れなくなったという事態に進展してしまいました。その患者が強い頭痛を訴えてきた事から、大脳を調べた結果、大脳の海馬領域に0.5cmの脳腫瘍を発見し、これが頭痛の原因だった事が判明しました。その腫瘍を切除すると頭痛が止まった事から一件は落着したのですが、今度は益々嘔吐が激しくなって、ジュースすらも喉を通らなくなってしまいました。医療団が緊急の維持液の腹水注入を行なって、最低限の栄養素で命を繋いで居ましたが、何も食べられない今の状況では独り住まいの老人には必ず限界が訪れる事は明白でした。何とか拒食症の原因を早く突き止めないと患者の命にも関わってくる事から、医療団も私も必死でした。

 そんな状況下に置かれた時に私の脳裏に閃いたのが、食中枢と密接に関わっている神経ホルモンの存在でした。それは視床下部ホルモンの一つで、「オレキシン」と呼ばれるホルモンでした。その患者のオレキシン分泌が「ゼロ状態」を呈していたのですが、不思議な事に、そのペプチド・ホルモンを合成する生産細胞の方には何の異常も無いのに、なぜかオレキシン分子が全く製造されていないのです。いずれにしても絶食の原因が分かった事から、技術団に人工オレキシン(信号器)を急遽開発させて、患者の脳内に発信器を設置しました。それから僅かですが固形食やジュースが飲める様になり、体力が徐々に回復してきましたが、納得いかないのは生産組織が無事なのに、なぜ工場が稼働しないのかという問題でした。その問題については遺伝子の当体である生体ヒールと神経ホルモン腺が何らかの形で繋がっていると考えるのが妥当である事から、脳腫瘍の摘出で穴の空いた空間に人工脳細胞(15万個)を移植して穴を埋めてみましたが、どういう接続形態なのか、その時点では分かりませんでした。

 生体ヒールがバイゾン分子で構成されている理由から、おそらくバイゾン分子が直列した有線の連絡管で結ばれている可能性が高い筈だと考えて、健常者の海馬を調査した結果、オレキシン腺と生体ヒールが「2本のバイゾン分子管」で結ばれている事実が判明しました。その結果を受けて、患者の生体ヒールからバイゾン分子管を延ばしてオレキシン腺と接続してみると、瞬く間にオレキシン腺が活性し始めて、ホルモン生産が始まった次第です。拒食症に陥った患者にはもう「人工オレキシン」は必要が無く、身体から取り除きましたが、普通に食べている姿を見て安心した次第です。全国にいる拒食症患者の原因が全てオレキシンに関係しているとは思えませんが、これで「ある程度は戦える様になった」と感じております。さて、これで四つの人工ホルモンに関する情報提供は終わりますが、宇宙医学と地球医学の見識の違いは、物事の本質を見極める識別力の「深さの違い」であり、形質に囚われる余りに理論も理屈も通らない浅い知識で早急に稚拙な結論を導いてしまっているのが地球医学の特徴なのです。

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    ※ 参照  〈視床下部ホルモン〉

 脳下垂体(下垂体)は視床下部(hypothalamus)で生産されるホルモンの分泌口となっており、下垂体そのものが生産するホルモン種も多いが、ここでは視床下部ホルモンと下垂体ホルモンを分けて記載している。視床下部は基本的にホルモン分泌の司令塔の役割をしている。一つに思える視床下部だが、境目を中心に左右に分けられており、生産するホルモン傾向が正反対なので、ここでは左右に分けて記載している。また、下垂体ホルモンの中には現代医学が認知しているホルモンと認知していないホルモンが存在する事から、後者に関しては神語名称のみで表記している。これまでの分類では視床下部ホルモンが2種類で下垂体ホルモンが37種類だったが、実際には視床下部ホルモンが15種類(この内2種類は視床下部から神経内に直接分泌される)で、下垂体ホルモンが24種類である。13種類の視床下部ホルモンが下垂体から分泌される事から、事実上、下垂体から血管内に放出されるホルモンの総合計は37種となる。

 尚、神経内分泌因子は神経伝達物として神経の中に注入されるホルモンの一種だが、人体には3種類の因子が存在しており、この内2種類が視床下部に存在し、もう一つは大脳辺縁系の内部に存在する。また、これまで両目を包み込む中脳眼(眼球のベッド)を視床眼とも表現してきたが、それを視床と表現するのは大変紛らわしく、これからは眼床と表現する事にした。ちなみに、2種類の視床ヒールホルモンに関しては、両目の中脳眼に付属するものであり、これからは「眼床ヒールホルモン」と呼ぶ事にした。

  ◉ [左視床下部ホルモン(7種)]

    ① ソマトスタチン(SST)・・・左側の視床下部の神経内分泌ニューロン(腹内側核)で生産される、分子量が大きいポリペプチド・ホルモンで、他の分泌腺に対してホルモン分泌を抑制させる作用を有する。このホルモンは膵臓のδ(デルタ)細胞や、消化管(胃や十二指腸)のδ細胞からも分泌されるが、生体の情報連絡網の一つであるG蛋白質共役受容体(GPCR)を介して、ソマトスタチンの「ホルモン分泌抑制指令」が組織の個々の細胞に伝達される仕組みになっている。抑制対象となるホルモンは、主に成長ホルモン(GH)、甲状腺刺激ホルモン(TSH)、プロラクチン(PRL)、ガストリン、セクレチン、インシュリン、グルカゴン、モチリン、コレシストキニンなど多岐に渡っている。尚、視床下部で生産されたSSTは下垂体の前葉から放出される。

    ② メラニン凝集ホルモン(MHC)・・・左視床下部のニューロン(外側核)で生産されるホルモンで、下垂体の前葉から分泌され、上下垂体動脈を介して体全体に放出される。メラニン分子に作用して分子凝集を促し、メラニンの拡散を妨げる因子である。

    ③ メラニン細胞ホルモン放出抑制因子(MIH)・・・左視床下部の漏斗核(隆起核)で生産されるホルモンで、下垂体中葉に存在するメラニン細胞刺激ホルモン(MSH)の分泌腺に対して抑制的な作用を及ぼす分泌腺コントロール因子。

    ④ プロラクチン抑制因子(PIF)・・・左視床下部の後外部のニューロン(視床下核)で生産されるホルモンで、下垂体前葉に存在するプロラクチン(PRL)分泌腺に対して抑制的な作用を及ぼす分泌腺コントロール因子。

    ⑤ 成長ホルモン抑制ホルモン(GIH)・・・左視床下部の後核で生産されるホルモンで、下垂体前葉に存在する成長ホルモン(GH)分泌腺に対して抑制的な作用を及ぼす分泌腺コントロール因子。

    ⑥ オキシトシン(OXT)・・・左視床下部の室傍核あるいは視索上核の神経分泌細胞で生産されるホルモンで、主に下垂体後葉から分泌される9個のアミノ酸から形成されるペプチド・ホルモン。主に抹消組織(平滑筋)で作用するが、中枢神経の神経伝達物質としての作用もある。分娩時の子宮筋収縮や、また乳腺の筋繊維を収縮させて乳汁分泌を促すという作用を呈する理由から、昔から女性に関係した子宮収縮剤や陣痛促進剤として利用されてきた。視床下部で合成され生産されるが、だが分泌は下垂体後葉からというホルモンである。オキシトシンもG蛋白共役受容体を介して個々に伝達される仕組みである。

    ⑦ バソプレシン(VP)・・・視床下部の視索(背外側と腹内側)にある視索上核の神経分泌細胞で生産されるホルモンで、オキシトシン同様に下垂体後葉から分泌されるペプチド・ホルモンである。抗利尿ホルモンもしくは血圧上昇ホルモンとも呼ばれている。腎臓で水の再吸収を増加させたり(利尿を妨げる)、血管を収縮させて血圧を上昇させる作用を呈する。このホルモンも腎臓の細胞膜にある3量体G蛋白共役受容体を介して細胞内部に伝達が行われる。

  ◉ [右視床下部ホルモン(6種+2種)]

    ① 性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)・・・右視床下部の内側核群の視索前核で生産されるペプチド・ホルモンで、下垂体の前葉に存在する性腺刺激ホルモン(ゴナドトロピン: FSHとLH)腺に対して促進的な作用を及ぼす分泌腺コントロール因子。

    ② 甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(TRH)・・・右視床下部のニューロン(背内側核)で生産されるホルモンで、下垂体前葉に存在する甲状腺刺激ホルモン(TSH)腺に対して促進的な作用を及ぼす分泌腺コントロール因子。

    ③ 副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン(CRH)・・・右視床下部の乳頭体核で生産されるホルモンで、下垂体前葉に存在する副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)腺に対して促進的な作用を及ぼす分泌腺コントロール因子。

    ④ 成長ホルモン放出ホルモン(GHRH)・・・右視床下部の後核で生産されるホルモンで、下垂体前葉に存在する成長ホルモン(GH)分泌腺に対して促進的な作用を及ぼす分泌腺コントロール因子。

    ⑤ プロラクチン放出因子(PRF)・・・右視床下部の後外部のニューロン(視床下核)で生産されるホルモンで、下垂体前葉に存在するプロラクチン(PRL)分泌腺に対して促進的な作用を及ぼす分泌腺コントロール因子。

    ⑥ メラニン細胞刺激ホルモン放出因子(MRH)・・・右視床下部の漏斗核(弓状核)で生産されるホルモンで、下垂体中葉に存在するメラニン細胞刺激ホルモン(MSH)の分泌腺に対して促進的な作用を及ぼす分泌腺コントロール因子。

    ⑦ 神経内分泌因子(ドーパミン)・・・視床下部の外側野の神経分泌細胞で合成される中枢神経の神経伝達物質。アドレナリンやノルアドレナリンの前駆体であって、分類上はカテコールアミン類の一つである。運動調節やホルモン調節に関わるが、分泌が促進されると各種の欲望や意欲の向上にも関わり、過剰な場合は精神的な障害(幻覚や妄想)も発生してくる。

    ⑧ 神経内分泌因子(オレキシン)・・・視床下部の外側野の神経分泌細胞で合成されるペプチド系の神経伝達物質。1998年に発見された。オレキシンAとオレキシンBが存在するが、いずれもG蛋白共役受容体を介して伝達される。食欲や報酬系欲望に関係し、睡眠と覚醒に関係する機能を有している。


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